PS4『人食いの大鷲トリコ』 1周目クリア後レビュー ※若干のネタバレあり

思えばこのソフトをプレイするためにPS3を買ったのだった。

発表から7年、2016年12月6日の発売日の翌7日に、PS4本体と一緒に買った。

一通りエンディングまでプレイしたので気になった点を書こうと思う。

クリア時間は12時間くらいだと思う。

 

・カメラワークがクソでストレスフル

ICO』や『ワンダと巨像』を彷彿とさせるカメラワークの劣悪さがプレイヤーを襲う。酷い所だと画面がブラックアウトしてしまって何も見えず訳が分からなくなる。

カメラ操作の感度はオプションで調整可能だが、スティックを倒してからカメラが動き出すまでにタイムラグがあり、ストレスを感じる。

 

・操作性がクソでストレスフル

ICO』や『ワンダと巨像』を彷彿とさせる、プレイヤーキャラクター(少年)の独特な動きとそれに伴う独特な操作性が健在。中盤から終盤にかけて、シビアな距離感とタイミングが要求されるジャンプを多用するステージが登場するのだが、前述のカメラワークの悪さと相まって落ちまくった。最終チェックポイントからやり直しになるのだが、「またここからやんのかよ……」ってくらいの箇所から再スタートでやる気がガタ落ち。

 

・トリコは割と言うことを聞かない

トリコに指示を出してステージを進んでいくのだが、割と言うことを聞いてくれず、同じ所を徘徊したり来た道を逆戻りしたりする。生き物ってこういうもんだよと言われればそれまでだが、ゲームの進行に著しい影響を与えるのは間違いない。トロフィー集めには興味無いが、「何時間以内にクリアする」みたいなタイムアタック系トロフィーが存在していて、トロコン目指す人には間違いなくイライラ要素になるはず。

 

・謎解きは結構難しい

一定時間経過すると天の声がヒントをくれるが、それでもわかりにくいところ有り。私は何とか自力でクリアしたが、はっきり言って詰む箇所があると思う。少年一人で探索してトリコの通り道を確保、トリコに乗って大ジャンプのいづれかが多い。後半のギミックも長い時間をかけてやっとのことで解決した。

 

・ストーリーについて

核心部分には触れないが、まっさらな状態でプレイしたい人は読まないで欲しい。初っ端から、「私」が一人称で過去を回想しながらストーリーが進行する。ここで「私」=少年であることがはっきりとわかる。この時点である程度想像がついたのだが、このゲームのストーリーと結末はICO』や『ワンダと巨像』のように、プレイヤーの想像する余地をほぼ残さない。「こうなって、こうなりました」で終わる。クリアした後の余韻は無かった。

 

総括すると、微妙だった。景色や建造物は美しいし壮大だが、どこか既視感がある。トリコも本物の生き物のようで毛並みも動きも目を見張るものがあるが、何れにしてもカメラがクソなのでステージの全景もトリコも全体を眺めにくく微妙。アクションは中途半端だし、正直延期に延期を重ねて7年間の歳月をかけた上にこれだけ大々的に宣伝した割にって感じである。場面によってはフレームレート落ちてカクつくし、一回アプリケーションエラーで強制終了したこともあった。

初回限定版に入ってるブックレットもいらねえ。なんだよこれ。

まあでもプレイする価値はあり。

退職時に有給を全消化するのは我儘だと言われた話

先日入社7,8年目の先輩社員と話す機会があった。

「辞める時に有給を全部使うつもりか?」と聞かれたので

「そうです、使います」と答えた。

「有給ってさ、会社にとってはマイナスにしかならないじゃん? 出勤しないで休んでる奴に給料払うわけだからさ」

「でしょうね」

「それでも使うっていうなら頑張れとしか言いようがないけど。ここは感覚の違いだな。考えてもみろ、会社で有給使ってる人間なんて一人もいないんだぞ? しかもこんな忙しい時で会社も過渡期真っ只中でさ。そりゃ我儘って言われても仕方ないよな」

「そうは思いませんが」

「有給使わず今すぐ辞めるか、せめて繁忙期の12月は出勤して1月に有給使うとかさ」

「関係ありません。絶対に使わせてもらいます。拒否したり欠勤扱いにしてきたら僕も出るとこ出ないといけなくなるんで」

 

この先輩社員の言うことも良くわかる。本来であればうまく折り合いをつけて繁忙期までは出勤して円満に辞めるというのが望ましいし、有給を使っている人間などいないのだから辞める奴が有給を使うなどもっての外であるというのが人間の感情であろう。

しかし日本は法治国家である。会社には好きとか嫌いという感情で居たのではなく労働契約を締結して労働力を提供していたまでのことである。

退職も2週間前に申し出るという民法上の要件を満たしているし、有給消化に関しても当然に認められる権利を行使するまでである。

大体、半年間残業代を出さないという会社の違法行為により手取り13万の生活を強いられたあげく、退職時の人格否定的罵倒やその後の無視といった冷遇を受けたにも関わらず、なぜ労働者が会社の意向や会社に残り働く人間の感情を組まねばならないのか理解に苦しむ。

会社行きたくねえ。

退職面談をした後、露骨な仕打ちを受けている話

先週、直属の上司Aに退職する旨を告げた。

「理由は何か」と聞かれたので、

「半年間の間、残業も手当も無しに働いており、金銭的に辛いというのが最たる理由ですが、その他にも個人的な理由で、色々思うところがありますので」と私は答えた。

「誰もが通って来た道である」「仕事の喜びや楽しさを味わう段階まで来ていない」「ここで頑張ればどの会社でも通用する」「会社組織とはそのようなものである」「ここで辞めると逃げ癖が付く」といった、退職希望者を慰留する際の常套句が一通り続いた。

挙句の果てに「この件は会社の者には内密にして欲しい。相談するならご家族や友人にして欲しい」と言われた。

口止め、自分の部下から退職者を出すことによって査定に響くことを免れたい保身とも受け止め得る発言に私は、「誰々が辞めると言っているというような話が出ると職場の士気が下がるという懸念は理解できるが、同じ会社の人間だからこそわかることもあるだろうし、私が信頼できると思う人には相談する」と言った。

「駄目だ」とAは答えた。

 

会議室を長時間使用し、席に戻らない私とAを不審に思った上司Bが会議室に入ってきた。このBはAの上司で、取締役と営業部長を兼任しており、営業の現場と会社の経営のどちらにも携わっている。Bは巨漢で口が悪く、怒鳴ることもしばしばである。Bに逆らう者はほとんどいない。それは「Bの紹介で入社した」「熱い人だから」「言っていることは間違っていないし仕事もできるからあの立場にいる」ということらしいが私にはわからない。

Bが口を開いた。「お前ら何をしてるんだ?」

Aはいかにも極まりが悪そうな様子で、何も話そうとしなかった。私が答えた。

「単刀直入に申し上げて退職する旨を申し伝えました」

B「なぜだ?どういうことだ?場所を変えるぞ。居酒屋へ行く。お前も来い。Aは来るな。こいつと話す」

居酒屋に場所を移して私は話した。

「手取りが13万では生活ができません。それが一番の理由ですが、その他にも個人的に思うことがあります」

Bは激怒した。「何だと!13万だと!それは知らなかった。すまなかった。謝る。それは会社が悪い。今までの手当(固定残業代含む)は払う。それで許してくれ」

(未払いの手当約30万円はすぐに振り込まれた)

「金銭的な問題だけではないのです。他にも理由はあります」

「一週間待ってくれ。一週間後にまた話をしよう」

 

 

一週間が経った日、私はBに呼び出された。

「一週間が経ったが決意は変わらないのか」

「変わりません」

「ではいつ辞めるのか。今は繁忙期だし、会社も過渡期で大変な状況だ。お前はいつが妥当だと思うんだ」

「そういうことであれば12月末でしょうか」

「ではそれでいいな?」

「いえ、もっと早く退職します」

「お前は自分で12月末が妥当であると言っておきながら、それより早く辞めるというのはどういうことだ。それは人として、人間としておかしい。お前はおかしい。社会人として大人として、おかしい。そんなことは通用しない。それはわがままだ」

Bの顔面には血が上って真っ赤になり、鼻息も語気も荒くなっていった。

「今回の件は会社も確かに悪かったが、そんなに何か酷いことをお前に対してしたか?未払いの手当ても支払うように総務にもブチ切れたし、Aにもブチ切れてやった。給与に関しては元に戻してやったのに、これだけ慰留しているのに、それでも辞めるというのは不義理じゃないか。お前に義理は無いのか?」

「人は繋がりが重要だ。最近の若い奴は権利ばかり主張して、義務を果たさない。人との繋がりを疎かにする。お前は権利ばかり主張しているが、お前は何か義務を果たしたか?必ず自分に返ってくるぞ!」

 

この面談が終わった日から、Bは会社ですれ違っても私を無視する。

総務の人間も私を無視する。

私はこの2年半、自分なりにやってきたつもりだった。この仕打ちである。まったく大人げない。中学生かよ。

なぜこんなことを言われなければならないのか全く理解ができない。残業代を払わないのは違法であって、払われるべきであったものが払われたというだけの話であるのに、なぜBに対して義理があるのかさっぱりわからない。

私はきちんと会社と話し合って、この日からこの日に有給を使ってこの日に退職します、そうかじゃあ次の場でも頑張れよくらいの、円満な退職を望んでいた。

しかし、人間としておかしいなどと言われてしまっては、私もさすがに頭に来る。おかしいのはお前らだ。

退職する人間に対して優しくしろなどとは露とも思わない。だが、無視を決め込んだり睨みつけるのがお前らのいう社会人か?大人か?人との繋がりなのか?

本当にいい勉強をさせてもらった。こんな会社が、こんな人間たちが存在する。実体験できてよかった。

営業といふ仕事に就ゐて思ふ

営業部に配属されて半年が経とうとしてゐる。

もう旧字使うのだるいから止めるか(早い)←(爆)。

営業と一言でいっても、会社によってその態様は様々である。その会社独自の製品やサービスを売り込む営業であるならば、なるほど、確かに「やりがい」(この言葉はあまり好きではないが)はあるだろうし、仕事もある程度は上手くゆくのではあるまいか。

例を挙げてみるならば、ホンダにはホンダでしか買えないクルマがあるし、その他特許を取ってその会社でしか売っていない機械などもあるであろう。

ところが、例えば卸(問屋)だとか、スーパーマーケットやホームセンター、その他サービス業など、競合他社が多く存在し且つ扱っている商品やサービスが、別にその会社でなくても購入することができる会社の営業の場合、これが大変である。

私の会社の営業職にはやはりノルマ、月に何件の新規顧客を獲得せよとか、この商品をどれだけ売って来い、というものがあって、俗にいう「飛び込み営業」も行うのであるが、その時客から言われた一言が強烈に我が胸に残っている。

 

「なんでお前のところから買わないといけないの?」

 

別に、私が勤めている会社からでなくても、いくらでも好きなところからその商品は買うことができるわけで、突然スーツで身を固めた見るからに冴えないうさんくせえ輩から買う道理など無いわけである。

では、他社とどういった点で差別化し、Battleできるかというと、価格である。値段である。プライスである。

顧客からの要望に対する対応の早さであるとか、営業の人となりなども差別化のポイントやもしれぬ。しかし、最終的に問題となるのは価格である。

だから、「うちならこれだけ勉強します」「うちならこれだけ協賛(只で商品をあげること)できます」ということになるのである。そうすると、粗利はガンガン減ってゆき、もう業界全体が値下げ競争に突入し、業界全体が疲弊の一途を辿るのである。

事実私の会社は賞与や退職金といった概念は無い、おまけに残業代などという概念も存在しない。

手取り13万で(ここは東京である)朝から晩まで働き、24時間365日どこにいても顧客からの電話はかかってくる。この仕事には、一日の終りは訪れない。

だから次から次へと辞めてゆく。事実「有給全部使います」との言葉を残して出社していない1年目の女子社員がある。余談だが、この子はかわいい。彼氏はいるのかと聞いてみたら「います。ラヴラヴです」などのたまっていたので、今頃彼氏様に慰められているのではあるまいか。ふざけるな!

私は辞める、私は退職する。未払いの残業代を請求したいが、タイムカードは全て手書きで定時上がりの時間を書くよう強要されていたので、証拠がない。私の証言だけでは心許ないだろう。

私は今まで、正社員で働きながらも貧困であるという人々の存在を信じることができなかった。その人の自堕落、自己責任だと思っていた。しかし、労働者を違法に搾取する犯罪企業は確かに存在する!残業代を払わないのは違法である!犯罪である!

そんな会社にしか入れなかったのはお前の努力が足りないからだと言うそこのエリート諸君には、大いに頑張って頂き、この日本という国を導いて頂きたい。

私は好きなようにさせてもらう。

 

 

青年の手記はここで終わっている。

就職して3ヵ月が経った

大学を卒業、就職してから3ヵ月が経った。

卸売業の朝は早い。朝は5時に起床して就業場所へ向かう。そこは大きな倉庫である。眠たい目を擦りながら、私は重い商品を棚から降ろして運ぶ。西村賢太の『苦役列車』に、港湾の倉庫で人足として働く主人公が出てくる。フォークリフトとか、プラッターと呼ばれる「回転式のハンドルをやたらにグルグル廻さないとビクとも首を振らぬ」車両が行き交う光景は小説のそれと同じだった。そのあとは届け先ごとに商品を梱包しトラックに積み込む。似たような商品が多い。間違いがあってはならないが、しかし慎重にやり過ぎると時間がかかり過ぎる。時間指定の配達先には間に合わなくなってしまう。

やっとの思いで積み込んだのちには、2トントラックを運転して配達する。私は免許を取って以来一度も車の運転などしたことが無く、最初は運転の練習からのスタートであった。初めは私が助手席に配送助手として同乗し、今では先輩社員が助手席に乗り、私が運転している。もう何度か危ない目にあったし、ガードレールにぶつけたこともある。誰もがこうして失敗し、そこから学んで仕事を覚えていくらしい。ちなみに配達中に商品を落として割ったりした場合はどんな高額商品でも自腹買取である。

配達は肉体労働である。狭い場所や滑りやすい場所でも重たい荷物を運ばなければならない。暑い日も雨の日も関係ない。きつい、汚い、危険のまさに3K労働である。

疲れ果てて家に帰り着くのは20時頃か。枕元に積んである本を読む元気もない。もっとも時間が有り余っていた学生の頃もそんなに読んではいなかったが。

休日は日曜と、週のうちの一日がシフト制で割り当てられる。

給与についてだが、ボーナスは数千円である。中小企業の現実を見よ。だが、残業代のおかげで手取りは20万円を超える。私が一人で配送に出られるようになると、手当てがついてさらに給料が増えるらしい。しかし、先輩社員の話によると昇給はごくわずかで、伸びは期待できそうにない。

私は新卒で入った。入社する時にも人事から聞かされていたのだが、新卒で入って配達をやっていた営業の先輩によると大卒者は早くて1年から3年で、営業などのホワイトカラー職に配属されるそうだ。最初配達をさせるのは、商品や顧客などの業界知識を身に着けさせるためとか、現場を知るためとか、根性を試すためとか言われている。しかし、根性でどうにかなる問題だけではない。同期の一人は腰を痛めてしまい戦線離脱気味で、「あいつ早く辞めねえかな」などと言われている。独り立ちするとそう簡単には休めないらしい。

私の話はこれで終わりだ。