先日、東海オンエアの動画を見た。
「1ヶ月間ボールを常に持ち歩いてたら、ついつい練習しちゃって勝手に上手くなっちゃうんじゃない??」という動画で、東海オンエアのメンバーがサッカーボールとバスケットボールを1ヵ月間、肌身離さず持ち歩いて競技の技量が向上するか検証するという内容だ。結果は「あまり変わらん」「上達したのかもしれない」という、何とも言えない感じで終了した。
私はこの動画を見て激しい懐かしさに襲われた。なぜなら私にも同じことをした経験があるからだ。おそらく球技経験者には覚えがあるのではないだろうか。野球部員はグローブを手にはめてボールをパンパン打ち付けたり握り込んだりしていたし、敢えて利き手でない手で箸を使って食事したりしていたのを見たことがある。
私は小学一年生から四年生まで、地元のサッカークラブに所属していた。入団したきっかけは、通っていた耳鼻科の先生に「きみはもう少し外に出て遊びなさい。肌が真っ白じゃないか」と言われたこと、ちょうど友達から「メンバー不足だから入ってよ」と誘われたことであった。加えてサッカーが上手であれば女子にモテるかもしれないと考えたことも理由の一つだった。
週に二日、2~3時間くらい練習があり、週末には時折遠征して他のクラブとの対外試合があった。
自分なりにコーチの指導をよく聞いて結構一生懸命練習に取り組んでいたつもりだったのだが、一向に上達しなかった。
「たったこれくらいの練習量じゃあ、そもそも全然足りないんだ。家で宿題をやっているときでも、ご飯を食べてるときでも、机の下で常にサッカーボールを触っているようじゃなきゃ。中村俊輔だってそうしてきたはずだよ」
純粋だった私はコーチに言われた通り、父に頼んでサッカーボールを買ってもらい、家でも常に足でボールを触るようにして、公園に遊びに行くときにはボールをネットに入れて出かけた。しかし、学年が上がるにつれてセンスのある者はメキメキと上達してゆき、そうでない私との差は広がるばかりだった。結局私は万年DFのポジションしか経験せず、練習も試合も苦痛になってきて、辞めてしまった。
「サッカー辞めたい」と切り出す私に「見切りをつけるには早すぎるんじゃないか」「もう少し続けてみれば」と両親は諭したが、続けても無駄であることは当の本人が一番よくわかっていた。
この経験は私に暗い影を落とすこととなったと同時に、いろいろ試してみるっていうことも大事なんじゃないかと思わせてもくれた。
サッカークラブに所属していたなんてことは、恥ずかしくて誰にも言っていない。